※こちらは店頭で試聴盤として用いられていた商品です。盤面には指紋や擦り傷、ジャケットにはダメージがある場合もございますので、予めご了承の上お買い求め下さい。 返品/返金は不可となります。(目視での盤面チェックをあらかじめ行い、一般的な中古盤よりも状態が悪いと判断したものは掲載しておりません)
ロンドンのKay Suzuki主宰[Time Capsule]から、今度は日本マンガとアニメのサントラ音源に焦点を当てたコンピレーションが登場。オブスキュアで鮮烈なシンセ・ポップが詰まったダブルパックに仕上がっています。以下、インフォメーションの転載となります。
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1983年、任天堂のファミコン誕生。85年、スタジオジブリ設立。のちに世界を席巻する日本の二次元文化は、80年代以降急速に成熟化した。アニメが隆盛を極めるにつれ、この時代には多くのサウンドトラックがリリースされた。時勢は、世界史上でも稀に見る異常な好景気。その風を受けて、映像化に至らなかった漫画の作品までもが、作品の世界観を音楽で表現したイメージアルバムを制作できるゆとりがあった。
当時最先端の音響機器とエンジニアを揃えたスタジオに、腕を鳴らした手練れのミュージシャンたちが集い、作品の世界観を創り上げるという一つのテーマの元、知恵を絞る。アニメの世界観、ミュージシャンの想像力、演奏力、莫大な資金を背景にした高額な機材と豊富な制作期間。こういったさまざまな背景に、オープンカーのカーステレオからかき鳴らされるシティポップの世界観が融合して、温もりと冷たさが渾然一体となった、ファンタジックでエモーショナルな、世界的に類を見ない奇妙で味わい深い音楽が誕生する事になる。
こういったサントラの先駆者的存在の一つは、大友克洋がAKIRAの前に手がけた漫画「童夢」。当時TVのBGMや中森明菜の楽曲等を手がけていた作曲家の伊豆一彦は、ハードサイエンス漫画の世界観をいち早く提示した「童夢」に衝撃を受け、即座に出版社へサントラの作成を直訴。原作者の大友と共に、すぐさま当時の最新機材を備えたキングレコードのスタジオに1年間篭り、A3に収録の「Act 2 Scene 26」を含むアルバムを1984年に発売。作風にあった近未来的ドラムマシンやシンセサイザーを駆使したこのアルバムは4万枚以上を売り上げ、その後に多く発売されるイメージアルバムの先駆け的作品となった。
小笠原寛は、法学科を卒業後、丸の内の法律事務所に勤務するもその方向性に疑問を感じ、最終的に作編曲家に転身。本作では1985年に手掛けた時代劇ロマンス漫画、「夢の碑」のイメージアルバムから2曲をピックアップ。85年に英国でヒットしたRah Bandの名作 「Messages From Stars」を彷彿させる楽曲「炎」のほか、深町純、鳥山雄司、ペッカーといった日本の当時を代表する凄腕ミュージシャンをフィーチャーした「宴」のどちらもが、当時の最新シンセサイザーやドラムマシンの特性を活かした音楽性の高い作品に仕上がっている。
環境音楽のパイオニアとしての一連のアンビエント作品を発表する以前の小久保隆は、1984年当時の有名作曲家、越部信義の元でシンセテクニシャンとして勤務。この頃数千万円はしたという初期のサンプラー/フェアライトCMIや、世界でも数百台しか生産されなかった初期ドラムマシンの最高峰・Linn LM-1等を駆使し、「少年ケニア」のサントラを再アレンジ。アフリカにインスパイアされながらも機械音で繰り広げるアフログルーヴは、まさにプロト・テクノと呼ぶに相応しい一曲。同時代に日本車の進出によって街が廃墟と化したデトロイトで、同じように格安でアメリカに進出したRolandのドラムマシンやシンセを使った若い彼の地のプロデューサー達が、初期のテクノを産み出していたことを考えると、非常に興味深い対比である。
本コンピレーションには、他にも元Spectrumの新田一郎や奥慶一といった日本を代表するスタジオミュージシャン等が漫画やアニメ作品に提供したインスト全10曲を収録。レーベル代表のKay Suzukiと、東京とロンドンを拠点にするレコードショップVinyl Delivery Serviceの関塚林太郎の二人がコンパイルし、現代の日本を代表する美術家たかくらかずき氏による書き下ろしアートワークに2ページのライナーノーツが付いたアナログ盤のみのリリース。
Artist: V.A.
Title: Anime & Manga Synth Pop Soundtracks 1984-1990
Label: Time Capsule
Format: LP